事前に知っておきたいことチェック
1.洗える・洗えない チェックポイントが多岐にわたる
コインランドリーでは、横ドラム式の密閉型洗濯機がありますので、このタイプの洗濯機を使えばダウンジャケットを洗うことができます。
ダウンジャケットは、冬のアウターウェアとして非常に人気があり、製品には色々な素材が使われデザインも素材の組み合わせも多岐にわたります。そのため、コインランドリーで水や温水で洗濯するためには、それらダウンジャケットの素材や形状全てが洗えることを確認しなければなりません。この確認を怠ると、全体やその一部を傷めてしまうことになります。ロゴや文字のある合成皮革製の小さなものでも、万が一表面が剥がれたりすると、大変残念な思いをするでしょう。二度と着る気にならないかもしれません。
ダウン(フェザーを含む)や側生地のポリエステル/ナイロンなどの組み合わせは、洗えますが、えり・袖にニットが使われていてそのニットがウールであれば、水や温水によるコインランドリーでの洗濯は不可です。
その他、表生地にウール、綿やレーヨンなど、縮むものが含まれると不可となります。レーヨンは、裏生地にも使われます。
ロゴや文字のある革や合成皮革のものが付いていると洗えません。縫い目の縁取りに合成皮革が使われているものもあります。
ワッペンや金属製の留め金が付いているものも注意が必要です。
表生地に光沢を出すためコーティングされているものは、そのコーティングが洗濯で剥がれ落ちることがあります。
フード等についている毛皮、フェイクファーは、洗えません。どちらも外すこのができれば本体を洗うことげできる場合もあります。
ダウンジャケットの一部(例えばエリ)にダウンではなくポリエステル綿が使われていると綿の偏りが発生します。
※ちなみに、中綿がダウンではなくポリエステルの場合は、中綿がしっかりとキルティングされていることが洗える条件になります。ダウンジャケットのように各ブロックに単独で入れてあるものはそのポリエステル綿自体が絡んで変形し塊になってしまいます。
側生地表面に撥水加工をしたものは、洗濯でその効果が減少したり無くなる場合があります。予めご了承ください。
防水性などを高める目的で表生地の裏面にポリウレタン樹脂などをコーティングしたものは、そのコーティングしたものが剥がれたり熱で縮んでしまうことがあります。
シームレス加工のダウンジャケットは、製造からおおむね3年を過ぎると洗濯や乾燥の熱で接着部が剥がれてしまうので洗えません。それらの製品には製造年月日は表示されていないものがほとんどです。
ファスナーの種類や形状も多岐にわたります。それぞれのファスナーにより注意事項が変わってきます。ファスナーの持ち手が細いものは、洗濯機や乾燥機のドラムの穴や隙間に入ってしまうと塗装が剥げたり、曲がってしまったり、場合によっては持ち手自体が取れてしまったりします。持ち手にロゴ入りのひもが付いている場合や、持ち手自体が外せるものは外して洗います。
飾りボタンやホックの金属製のアタマに塗装の施されているものは、洗濯や乾燥で表面が傷つく場合があります。
側生地に穴が開いているものや裂けているもの、それらの傷をシール式の補修シートでふさいであるものなどは、中のダウンが出てしまったり補修シートが剥がれてそのノリが他に付着し汚してしまうので、洗えないでしょう。
これらのチェックポイントを洗う予定の全てのダウンジャケットでチェックしなければなりません。
※ご注意
「コインランドリー式クリーニング」では、お客様からお預かりしたダウンジャケットのみでも他の洗濯物といっしょに洗う場合でも、お客様に確認する必要があると思われる上記の事項は、受付時やその後洗濯前のチェック時にお客様に確認いたします。そのため、場合によりクリーニングをお断りすることもあります。また、お客様から傷みが発生する恐れがある時でもクリーニングを進めるご了承をいただいた場合は、クリーニングをいたします。
この場合は、傷みについての責任は負いかねます。予めご了承ください。
弊社の洗濯や乾燥時の取り扱い方法等で対応できると思われるものについては、お客様に確認を取らずに作業を進めることもございます。
また、経年劣化等やそれらに基づくほつれや裂け、付属品の脱落など、その他予測できない傷みについては責任を負いかねます。予めご了承ください。
2.ダウンジャケットの汚れを確認しましょう
ダウンジャケットの主な汚れは、エリまわりの汗皮脂汚れやファンデーションの付着、袖口の汗皮脂、擦れ汚れ、ポケットまわりの擦れ汚れ、裾まわりの擦れ汚れ、前身ごろの食べ物付着による油や着色のシミなどがあります。
洗濯機による洗濯で取れない汚れもあります。その中には、事前処理をすることで取れるものも。どんな汚れなのかを把握することで洗濯前に部分処理をしてよりきれいにすることができます。特に油性マジックや油性ボールペンで線などが書かれてしまったものなどは洗濯前に染み抜きすることで取れる場合があります
汗皮脂汚れは、洗濯で洗い落とすことができますが、汚れ方により、洗剤・水温・洗濯時間を適切に選ばないと汚れが残ります。また、汚れが時間経過により黄ばんだ汚れなど、洗濯では取ることができないものもあります。
3.洗濯タグを確認しましょう
ダウンジャケットに洗濯方法を表示するタグが付いています。各種マークで、洗濯方法・乾燥方法など洗濯にかかわる注意事項が表示されていますので、必ず確認してください。
文字による素材表示も重要です。アクリル・ポリエステル・ナイロン100%は、基本的に洗うことができます。ダウンとフェザーの中綿は、洗えます。襟や袖のニットの素材も確認します。ウールが使われていると洗えません。
また、注意事項として文章による説明が表記されています。よく読むと各種マークで表示できない案内や洗剤の選び方、乾燥方法などが明記されていますので、確認が必要です。ポリウレタン樹脂がコーティングされていることや、洗濯する上での注意事項が書かれていますので、小さい文字で読みづらい場合でも必ず最後まで読んで確認しましょう。
洗濯表示タグが見えなくなってしまったものも、当店でおたずねいただければ、わかる範囲でご案内いたします。ただし、製造が古いものや、海外製のもの、ブランド品で色々な素材が使われているものなどは、判断できない場合もあります。予めご了承ください。
※ご注意
ダウンジャケットの様でも中綿がダウン・フェザーではなく、ポリエステルや他の素材が使われていたり、ダウンとポリエステル両方が混在している中綿もあります。これらは、中綿の偏りや塊が発生しますので洗濯タグをよく確認しましょう。
4.経年劣化による傷みについて
シームレス加工のものは、製造後3年ぐらいで接着部分が剥がれることがあります。また、経年によりダウンの張りが徐々になくなってきます。
経年劣化により縁取りが擦り切れていたりほつれなどの傷みのあるものでも、洗濯することができます。きれいに洗ってより長く気持ちよく使うことができます。ただし、経年劣化で洗濯・乾燥により傷みが発生したり、傷んだ部分が広がったりすることがあります。洗濯物に発生する可能性のあるこれらの傷みをご了解していただいた上で、洗濯・乾燥をご依頼いただくことはできますので、ぜひご利用ください。
洗濯しましょう
汚れを落とす洗濯の要素は、「洗剤・水温・物理的な力」です。どの要素が不足しても汚れは落ちません。
1.洗剤を選ぶ
まずは、洗濯表示タグを確認しましょう。「中性洗剤」の表示があるものは、中性洗剤を使用します。
※注意 弊社では、コインランドリーも「コインランドリー式クリーニング」でも、弱アルカリ性の洗剤を使います。汗・皮脂、擦れ汚れの洗濯に適した洗い方をであり、実際の洗濯の温水で希釈された状態では、中性に近くなると推測されるために使用しています。予めご了承ください。
2.洗濯時の水温
皮脂汚れは、体温か少し高めの水温で洗うと油脂分が効率よく溶けだし、洗剤の主成分である界面活性剤に取り込まれてよく落ちるといわれています。家庭の洗濯で、おふろの残り湯を使うメリットは水道水よりも高い水温で洗えることなのです。
特に冬には水道水の温度が下がりますので、皮脂汚れが溶け出しにくくなります。
当店では、洗濯時、時期を問わず給水温を40℃~45℃に設定することで理想的な洗濯をしています。
3.物理的な力
主に洗濯機のかくはんなどによる物理的な力は、繊維表面から汚れをはぎ取る有効な方法です。
洗濯機の形にはいくつかのタイプがあります。ドラム型、タテ型、2槽型などタイプにより物理的な力の加わり方が違います。一般的にドラム型のたたき洗いは、タテ型のかくはんより強い力が加わるといわれています。
昔ながらの2槽式は洗濯槽が細いうえパスセーターが相対的に大きくよく回るので、より強いかくはんができ泥汚れなどには適しています。
なお、洗剤の主成分は界面活性剤です。界面活性剤には汚れを繊維表面から引き剥がす力はほとんどありません。
界面活性剤の凄いところは、ひとたび繊維表面から離れた汚れの表面に素早く付着し、再度繊維表面に付くのを強力に防ぐことにあります。物理的な力ではぎ取った汚れに界面活性剤が素早く付着することで、洗浄効果が上がります。
4.柔軟剤
柔軟剤もふんわりとした仕上がりと静電気抑制のためにお勧めします。ただし、アレルギーのある方には注意が必要です。特ににおいの強い柔軟剤によって体調不良をひきおこすこともあると言われていますので注意しましょう。
当店では、においの少ない柔軟剤を使用していますが、気になる方は、お申し出ください。
まとめ
当店では、横ドラム式の業務用洗濯機を使用しています。洗濯機のサイズは、容量10~12kg、15~17kg、27kgがあります。お預かりした着数や、他の洗濯物と合わせた洗濯物総量を勘案して、洗濯機のサイズを決めています。
水温は40℃~45℃で洗いますので、皮脂も溶け出しやすい温度です。当店の洗濯時の水温は時期に関係なくこの範囲の温度を保っています。
横ドラム式ですので、理想的なたたき洗いができます。そのためには、ドラムに洗濯物を詰めすぎないように洗濯物の量を管理しています。
また、洗濯時間は5分~15分と調整して、たたき洗いによる物理的な力が洗濯物に大きなダメージを与えることなく汚れをきれいに落とせるように調整しています。
コインランドリー、コインランドリー式クリーニングでのおすすめは、まとめ洗いです。ダウンジャケットだけでなく、いろいろな組み合わせで、各機器の容量に合わせて最適に洗濯や乾燥ができる範囲でいっぱいまで入れると割安にクリーニングすることができます。
また、ダウンジャケットと毛布の組み合わせで洗濯すると、毛布自体の起毛が、柔らかくて細かいブラシ効果を生み出し、ダウンジャケットに付着した擦れ汚れや汗皮脂汚れをより効果的に取り除くことができ、洗濯の3要素のうちの物理的な力の大きな助けになることでしょう。
弊社では、このダウンジャケットと毛布の組み合わせでの洗濯を皆様にお勧めいたします。